真夏の猛暑が去ったので週末は家の大掃除にあけくれています。
2年間ほぼ放置してきたベランダの水洗いをしたり
たまりにたまった本を整理するべく、本棚を組み立てたり。。。
その中でひらひらと落ちてきたこちら。
2013年の12月に行ったウィーン国立歌劇場で観た『蝶々夫人』のパンフレットです。
ドミンゴ、この頃はレパートリーをバリトンへ移行しながらもまだ現役で歌っていたから
ピンカートンもドミンゴで聞きたかったな、と思ったんだっけ。
この日も大きな拍手はドミンゴに向けてのもので、主役はやっぱりドミンゴでした。
海外公演の蝶々夫人ってとにかく演出が残念なことが多いのです。
あれは誰の蝶々さんだったかな。フレーニだったかな?
クライマックス、これでもかというほどドラマチックな音楽に乗せて蝶々さんが自害をするシーン。
それを聞きつけたピンカートンがマス目のない障子を勢いよく突き破って登場してきたのです。
ドヤ顔で。
もちのろんで土足で。
本来、何度聴いても泣けるシーンなはずなのに笑えるやらがっかりやら。
文化って難しいわ〜と思わずにいられない名盤です。
そして、そんながっかりもあるだろうと覚悟して臨んだドミンゴ版蝶々夫人。
結婚の許しを得るのに、地べたで土下座していましたけれどそんなものは許容範囲です。
長崎の街並みも美しいセットが組まれていましたし、着物の着付けもちゃんとしていました。
日本人かどうかはわかりませんでしたが
合唱の立ち位置ごとのリーダーに、アジア系の女の子が配置されていたところに感心した記憶があります。
動きが、そのリーダを核に美しく回っていたので
日本の文化を正しく伝えようとしている姿勢が伝わってきて、嬉しかったのです。
たった1枚のパンフレットから11年も前の思い出がつい最近のことのように蘇ってきて
その時に、そこに行った証は残しておくべきなんだろうなと思いました。
コロナ前までは、会社の夏休みに合わせて2年に1度海外旅行に行っていたのですが
写真さえまともに残していないですよね。
今見た景色は写真に撮るのではなく、この目に焼き付けたい派!なんて言っていたけれど
あの時、オペラの余韻に浸りながらスタバでコーヒーを買ってホテルまで歩いた道。
イルミネーションがウィーンの建物を素敵に演出していて、心が幸せでひたひただったこと。
これも1枚のパンフレットが導いてくれた思い出。
なんだか無性に、カメラを持って海外旅行に行きたくなってきました。