先日、母との旅でのちょっとしたすれ違いをSNSに投稿してみたら、驚くほどの返信をいただきました。
私の言葉を「うん、うん、わかります」という同意や、そのまま受け取ってくれた人。
「え?そっち!?」
と、思いもよらない角度から受け取った人。
同じ文章を書いたはずなのに、人の数だけ解釈がある。
言葉の面白さと同時に、少し怖さを感じた出来事です。
そんな時に、カーリング選手の吉田知那美さんがSNSでおすすめしていた
原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』を手に取りました。
きっと今の私にタイムリーな一冊だと思ったのです。
この本はスピーチを題材にしているので、スピーチの内容はもちろんのこと
スピーカーとなった時のテクニックなども「なるほどな」と思わされることが散りばめられています。
けれど読んだ後に残ったのは、言葉そのものの力についてでした。
この物語は読んでいて先が見えてくるし
結末も綺麗すぎるほどまとまっています。
その分、それぞれの登場人物が丁寧に描かれていて、人としての温かさを感じるほど脳裏に浸透してきます。
だからこそ、その人たちが紡ぐ言葉に心が動く。
そのまっすぐで温かな言葉の数々に、何度も目元がウルウルします。
そして物語の最初と最後に置かれた、ジョルジュ・サンドの
「愛せよ、人生において良きものはそれのみである」
というすてきな言葉が
この物語を囲む額縁のようで、余韻のように響いてくるのです。
この本には、心に留めておきたい言葉がいくつもあり、何度も読み返してしまいそう。
❤︎
私は日頃、スピーチをする機会はないけれど
毎日、誰かと会話をし、LINEを送り、たまーにだけどSNSで発信をする。
言葉を扱う人なのだと、認識させられました。
今、もう一度あのSNSの返信を思い出してみると
言葉って、思っている以上に遠くまで届くということ。
それが難しくもあり、面白いところでもある。
そんなことを考えさせてくれた一冊でした。
