クラウス・マケラ指揮 パリ管弦楽団 ’22

会場 : サントリーホール

指揮:クラウス・マケラ

ピアノ:アリス=紗良・オット

プログラム

クロード・ドビュッシー 交響詩《海》

モーリス・ラヴェル《ピアノ協奏曲 ト長調》 (ピアノ:アリス=紗良・オット)

イーゴリ・ストラヴィンスキー《火の鳥》

アンコール

アリス=紗良・オット

アルヴォ・ペルト

《アリーナのために(Für Alina)》

パリ管弦楽団

ミハイル・グリンカ

《歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲》

2022/10/18 in サントリーホール

「相方が行けなくなったから。」

そんな理由で、急遽お誘いいただいたコンサートでした。

前日のお誘いだったので、曲目以外は何の下調べもせずにサントリーホールへ向かったのですが。

開演直前、「この指揮者、今いちばん人気らしいよ」

と耳打ちされ、プログラムを開いてみると、確かにイケメン❤︎

でもね、こういうのは一番写りのいい写真を選んでいるんですよ。絶対😌

ところが、その“今、いちばん人気”の指揮者、クラウス・マケラが舞台に姿を現した瞬間

あまりのオーラと美しさに、思わず目が点になりました。

とにもかくにも、美しさで目を奪われてしまうような指揮者を見たことがありません。

いえ。今まで、こんな人はいなかったでしょう。

目次

ドビュッシー 交響詩《海》

ドビュッシーの音楽って、すごく繊細ですよね。

それは、ニュアンスカラーのような感じ?

でも、この日ホールで初めて聴いた《海》は、そんな印象をガラリと変えてくれたように思います。

壮大できらきらと輝き、波のうねりのような音の群れが次々と押し寄せてくる。

一曲目から、ハートががっちり掴まれました❤️

音が平面的ではなく、目の前で立体的に広がっていく。

そんな感じかな……

どなたか、ライターさんが今回の演奏を「飛び出す絵本」と表現していましたが、まさにその通り。

とても素敵な表現だと思いました👏

ラヴェル《ピアノ協奏曲 第1番》

すごくおしゃれな曲です。

さまざまな個性あふれるエッセンスを散りばめながらも、一つの作品として見事にまとめ上げられていて。

ラヴェルって、本当にすごい。

56歳の頃、キャリアの終盤に差しかかっていた時期の作品なのですが、そうは思えないほど瑞々しく、遊び心に溢れていて大好きな曲です。

でも、瑞々しさとは若さの持つ特権だけではないのかも。

世界大戦への参戦、最愛の母親との別れ。

その後の、大盛況となるアメリカツアーと、そこで出会った新しい音楽。

そんな目まぐるしい経験があったからこそ、生まれた作品なのかもしれません。

コンサートを振り返ると、そんなことを思います。

同じ「音」なのに、音源で聴くのと、コンサートホールいっぱいに響く音を聴くのとでは

曲の印象がガラリと変わってしまうことがあって

不思議だと思うのと同時に、それがコンサート会場で聴く醍醐味だと感じます。

特に印象的だったのが2楽章。

どこまでも静かで、ピアノは光が水に反射したかのようにきらきらと煌めいて

すごーくシンプル(音数が少ない)のに、サントリーホールという大ホールに音楽が満ち満ちとしているんです。

どうしたら、こんな曲が書けるんだろう?

もちろん、ラヴェルが天才だからに決まっているのですが

1にセンス。2にセンス。3、4がなくて5にセンス。

そんなセンスの塊のような曲だと思います。

陽だまりのような温かさとノスタルジーが溶け合うような音楽に、始終、涙腺が緩みっぱなしでした。

ここでは、ピアニストとオーケストラにすべてを委ねるかのように、マケラはほとんど指揮を振りません。

パリ管とマケラの信頼関係が、客席までビシビシ伝わってきたことと

ピアノとオーケストラが、まるでお互いに言葉を交わしているような時間でした。

ストラヴィンスキー《火の鳥》

ド派手なオーケストレーションと、圧倒的なエネルギー。

言葉を選ばずに言えば、「しっちゃかめっちゃか」な迫力もストラヴィンスキーの魅力です。

でも、その熱い渦のような音楽の中に、ふっと時間が止まるような美しい旋律を忍ばせる。

そこもまた、ストラヴィンスキーの魅力だと思います。

この曲でその部分を担うのが《子守唄》のファゴット・ソロだと思うのですが

ジョルジオ・マンドレージ氏の音色がどこまでも深くて温かく、じんわりと心に染み込んできます。

不思議なことに、これだけ大編成のオーケストラの中にいても、その存在感は圧倒的。

ロマンスグレーの髪に、大柄な体格。

気づけば自然と目で追ってしまう存在でした。

初めて聴くパリ管弦楽団でしたが、舞台に現れた瞬間から、演奏を終えて去っていく最後の最後まで、自由で、華やかで✨

舞台を楽しんでいる雰囲気が伝わってきて、大好きなオーケストラになりました。

そして、その中心にいたのがクラウス・マケラ。

指揮と音楽が見事にマリアージュされ、パリ管との信頼関係が客席まで伝わってくるものがありました。

「時よ、止まれ。」

そう思わせてくれるコンサートは、そう何度も出会えるものではありません。

あの日、偶然いただいた一枚のチケット。

あの幸運がなければ、この忘れられない夜にも出会えなかったのだと思うと、ご縁というものは本当に不思議で、ありがたいものです。

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